2019シーズンが開幕しました。
松本山雅のJ1再挑戦が始まります。
開幕戦の相手は、名波監督率いるジュビロ磐田。
結果は1-1の引き分けでした。
皆さんはどんな印象をこの試合に持ちましたか?
この試合のマッチレビューをジュビロ磐田、松本山雅、お互いのファン・サポーターに聞いてみました。
目次
両サポーターが試合を見て感じたこと
前半8分に山雅は岩上選手のフリーキックが決まり先制します。
ペナルティエリアの右端付近からジュビロ磐田の中村俊輔選手がジャンプした下をすり抜けて、ゴールの隅へと蹴り込む見事なフリーキックでした。
その後は磐田が終始ポゼッションを保ちながら猛攻を続ける展開。
山雅の必死の守りで決定的なチャンスを潰し、両チームともペースをつかめないまま試合は後半へ。
後半26分に左サイドから上がったジュビロ磐田の山田選手のクロスに途中出場の川又選手がヘディングシュートを決めて同点。
逆転を狙う磐田の攻撃をしのぎ、1-1の同点で試合は終了しました。
J1の舞台でやるというのは、選手にとってもわれわれスタッフにとっても非常に意義深いものだなと感じております。そう考えると、目的であるトップ15に入れるように頑張らないといけないと感じています。たくさんのサポーターにも来ていただき、J1らしいムードに感極まっていますが、次の試合に向けて頑張っていきたいなと思っています。
≫ 新加入の服部 康平選手、エドゥアルド選手、高橋 諒選手の出来について。
失点をゼロに近づけるのがGKを含めた後ろの仕事なので、簡単にあっさりやられてしまうと及第点を与えることはできないでしょうね。ただ初めての中でよくやったとは思います。星1つという感じですかね(苦笑)。ただチームはリニューアルしていかないといけないので、昨季のメンバーも一生懸命やっていますし、チーム内の競争がそのままJ1のコンペティションでやれるようにしていきたいと思います。それは他の選手も一緒で、高橋にしてもよくやったかなとは思います。
≫ J1の舞台で初出場となった服部選手の評価は?
少し粗いところはありますけど、徐々にJ1の舞台に慣れてほしいと思います。彼の良いところはありますし、課題の部分はどんどん修正するように持っていくのがわれわれの仕事なので期待しています。
引用元:
Jリーグ公式
スポーツナビ
開幕戦独特の緊張感の中でロストも多かったですし、イージーなミスからセカンドボールを拾われるシーンが多々あったと思います。ゲーム展開を考えたら立ち上がりのあのFKの失点で松本に大きな自信を、そしてわれわれに大きな失望を与えたゲームになってしまったと思っています。
あれだけ後ろに下がった中で、カウンターのスピードを持った選手がいて、そこを3回のうち2回は使われてしまった。少し怖さもあり、全体的なプレスの連動よりもそこのケアをしなければいけなかったり、ポゼッションの中でそのサイドを使うときに、前田 大然のプレスバックやプレッシャーに対してロストしてしまったシーンもあり、ボールの動かし方もイメージしていたポゼッションとは徐々に変わってきてしまったのではないかと思っています。
SBがインサイドに顔を出すという作業は、中村 俊輔が交代する55分くらいまでは何度かできたと思いますが、それから少しロックされた前線の選手がいたので、なかなかタイミングよくボールが入らなかったりしました。もちろん拾ったところで、同サイドの突破が多くなってしまったので、変化が起こしづらい状況になってしまいました。
あとはゴールシーンはよく追いついたと思います。川又 堅碁の特徴、それから山田 大記の精度の高さ。それが重なって生まれたゴールですが、後半にあそこまでわれわれのシュートがゼロだったので、前向きに、前がかりに体重を持っていこうという中で、シュート数が増えなかったのは残念だったと思っています。開幕戦の他の会場の結果を見て、やっぱり開幕戦の難しさは十分に理解していますので、もちろん3ポイントを取りたかったですが、また第2節以降頑張りたいと思います。
川又 堅碁は、2月5日のケガが十分に治っていなくて、水曜日くらいまでダマしダマし動き出して、先週末の状態では痛い、火曜日の練習はオッケー、水曜日の練習は痛いという感じだった。少し頭からいくにはリスキーということで回避しました。パフォーマンス自体はゴールを奪ったので悪い印象はないと思いますけど、運動量的にはだいぶへばっていたので、まだまだコンディションを上げなければいけないなと思っています。
≫ ロドリゲス選手のパフォーマンスについて。
シンプルにやらなければいけない場面で、二度ほど簡単に失ったシーンがあったので、あそこは気をつけなければいけないのと、疲れてくるとうまいことやってやろうという欲が出てきて、それがチームのピンチにつながってしまったところもあったので、あの辺のしんどさというのは、彼も国際試合を何試合も経験しているので、やり切らなければいけないなと思っています。
ただ、アダイウトンとロドリゲスの両アウトサイド、それから自由にポジションを変えてゴールに向かっていくパワーとスピードは十分にアピールできたと思っています。まだ彼も初戦なので、これから試合を重ねればもっとよくなると思いますし、ここから国際Aマッチデーで行ったり来たりもするので、コンディション作りがポイントになってくるかなと思っています。
ジュビロ磐田 | スタッツ | 松本山雅 |
57% | ボール支配率 | 43% |
16 | シュート | 14 |
4 | 枠内シュート | 4 |
115.6km | 走行距離 | 117.8km |
167 | スプリント | 185 |
501(80%) | パス(成功率) | 286(65%) |
2 | オフサイド | 1 |
12 | フリーキック | 18 |
7 | コーナーキック | 5 |
0 | ペナルティキック | 0 |
0 | 警告・退場 | 0 |
ジュビロ磐田サポのマッチレビュー
ポゼッションの質に少し難
序盤から磐田がボールを動かし、松本が取りどころをうかがい、奪ったボールを少ない人数で攻めるという展開でした。
磐田は昨年からポゼッションの質に少し難があるかと思っていました。
加えて足を滑らせて、自らピンチを招くシーンも多々あり、正直キャンプからの仕上がりはいまいちでした。
松本は、やりたいことがはっきりしており、何度も少ない人数で磐田ゴールを脅かしていたと思います。
ただ開幕戦としては上々の出来だったのではないでしょうか。
磐田のポイントとしては、新戦力のロドリゲス選手がどこまでチームに馴染んでいるかという点でした。
でも、まだまだこれからかなと感じました。
大久保選手との近距離での関係は改善が必要。
実際にロドリゲス選手が交代してからは、大久保選手にワンクッション入れる場面が増えて試合が流れ始めました。
加入当初のアダイウトン選手も同じような感じだったので、ロドリゲス選手も、中村選手などとプレーしていく中で改善されていくことでしょう。
ジュビロ磐田側から見るとよく引き分けに持っていけたという印象の試合。
松本からすると勝ち点3を失ったという試合だと思います。
試合のキーポイントになったのは、やはり前半8分の松本の先制点だったと思います。
松本は以前から守備力には定評のあるチーム。
今シーズンも先制すればある程度、良い試合運びができると思っていたので、ジュビロにとっては絶対与えたくない得点でした。
ジュビロも昨年から全盛期のパフォーマンスに戻りつつある山田選手から川又選手へ絶妙なクロスで同点ゴールを取ることができたことは今シーズンのジュビロもいけるという雰囲気は感じました。
ボール試合率はジュビロの方が上回っていましたが、試合内容としては松本のゲームだったという印象です。
松本山雅サポのマッチレビュー
引き分けという結果はまずは及第点だなと思います。
J1に戻ってきた松本は言わば挑戦者の立場。
負けなかったのは何よりの収穫です。
反面、先制しながらも追いつかれたのは反省材料です。
ましてや被弾したのは要注意であるはずの川又選手です。
ケガ明けで本調子ではない川又選手に得点をとられたのは悔やまれます。
川又選手は昨年も磐田の攻撃を引っ張っていた存在で、今節は途中出場となりました。
もっと注意深くマークするべきであったと思います。
これらが反省材料にはなるものの守備では、ボールホルダーに対する積極的なアプローチがハマった部分もありました。
この守備の形は収穫と言えると思います。
前田選手の攻撃が十分に通用することがわかったことも大きいです。
試合全体的には、次節に対して期待を持たせてくれる内容だったと思います。
ジュビロ磐田×松本山雅の試合をスタジアムで観戦しました。
サポーターが集結しているゴール裏には行かずに、試合の流れが見やすい席での観戦。
開幕戦ということもあり、お互い緊張しているような感じがしました。
先に失点はしたくないという気持ちが強く、開始5分くらいまではどちらが優勢ともいえない印象でした。
全体を通して感じたことはやはり重苦しい雰囲気でチャンスの数も少ない。
山雅ファンなので、松本山雅を中心に見ていましたが、アウェーということも影響していて、思い切りに欠けていました。
セットプレーで得点を奪うことが出来なければ、かなりの確率で負けていたと思います。
対戦相手の印象
両サポーターに相手チームの印象を聞いてみました。
山雅サポから見た磐田の印象
ジュビロ磐田はJ1の中では十分勝てる可能性があるチームだと思っていました。
でも、現実はそこまで甘くありませんでした。
海外での豊富な経験を持つ絶対的な司令塔である中村選手、大久保選手に加えて、パワフルでスピードもあるアダイウトン選手もいる前線は強烈です。
ベンチには日本代表にも召集された川又選手も控えているので攻撃力はJ1屈指です。
この試合でも何度もチャンスを作られました。
しかし、磐田の方は決定力を欠いていて、最後のところでの迫力はそこまで感じませんでした。
ボールは支配され、体力的にきつい展開でしたが、アウェーの雰囲気の中でよくやったと思います。
ジュビロ磐田は、組み立ては良いが決定力に欠けるといった感じでした。
磐田の印象としては、まだ本調子ではないのかなと感じました。
磐田は昨シーズンの終盤から調子が上がらず、残留争いに巻き込まれてしまうなどチーム状態がいまひとつでした。
今節を見た限りは、まだそこから抜け出せていないなという感じです。
磐田には中村選手や大久保選手など実績のある選手がおりますが、チーム全体がまだ完全に噛み合っていないのかなという気もします。
全体的にボールロストやイージーなミスが多かった印象です。
その反面、得点を上げた川又選手やそれにつながるプレーをした山田選手など個人の上手さを感じる場面もたびたびありました。
昨年からのチームの停滞感を吹き飛ばし、噛み合ってきたら上位を狙える力はあるチームだと感じました。
ジュビロ磐田は、中央の中村俊輔選手にボールを集めてから両サイドにボールを散らすという動きを徹底していました。
今シーズン取り組んできた新たなフォーメーションと戦術は、まだまだ改善の余地があるものの機能し始めています。
左サイドのアダイウトン選手と同点のアシストを決めた山田選手。
右サイドのロドリゲス選手と上原選手が頻繁にポジションチェンジをしたり、お互いを追い越してボールを受けたりとバリエーションがありました。
今回はワントップの大久保選手が不発だったので、大量得点とは行きませんでした。
試合を重ねていくうちに新加入選手との連携がさらに精度を上げてくることがあれば、手強い相手となりそうです。
磐田サポから見た山雅の印象
松本の選手は、よく走り粘り強く、全力が伝わってくるチーム印象です。
そのサッカーは、松本どころか長野を背負ってプレーしているような雰囲気で力強いです。
あの松田選手が思いをこめてプレーした松本は、魂を受け継ぎファイティングスピリットをまとっていました。
だからこそ、磐田のミスを誘い何度もゴールを脅かしていたのだと思います。
反町監督が、試合後のインタビューで同点に追いつかれた場面の原因について、「一瞬のスキ」という言葉を使っていましたが、あれだけ走り抜くチーム、ハードワークするチームでも一瞬のスキを見せれば失点してしまう。
そんな奥深い言葉を出せる反町監督も、良い監督だと感じました。
監督が謙虚だからこその、熱いチームでした。
やはり今年もよく走るチームで、前線からしっかりプレッシャーをかけてくるなと感じました。
夏場の気温の暑い状況でこの試合と同じぐらいの運動量は難しいと思いますが、連動したプレスと縦パスもしっかりケアしていました。
クロスについてはDFがボールウォッチャーになりやすいので、そこが弱点になるかと思います。
またいくつかあった決定機でもう1点取っておけば、勝ち点3はほぼ手中にあったと・・・
このあたりの決定力がJ1に残れるかのポイントになるのではないかと感じました。
反町監督も途中でしっかり田中隼磨選手を使うあたりは、サポーターの心、選手の気持ちを理解していると感じました。
しかし、控えメンバーはどうしても他のチームと比べると見劣りします。
けが人を多く出さないことも今シーズンは重要なポイントになると思います。
対戦相手で気になった選手
相手選手で気になった選手を聞いてみました!
40歳となりJ1最年長選手となった大ベテランの中村俊輔選手。
年齢をまったく感じさせないプレイの連続で、ディフェンダーから受け取ったボールを柔らかく、正確な軌道で左のアダイウトン選手や右のロドリゲス選手に面白いようにパスを通し、何度もチャンスを演じていました。
精度の高いセットプレイも健在で、今後もチームの中心としてゲームメイクするに違いありません。
新加入でJリーグ初のルクセンブルグ代表選手のロドリゲス選手です。
サイドからの攻撃が得意で今回は惜しくも得点には絡めませんでしたが、ボールを持てば攻撃の起点や自らドリブルで中央に切り込むこともできることから、もう少し精度が上がってくれば脅威となりそうです。
相手チームで気になった選手は、得点を奪った川又選手です。
ゴール前で迫力があり、何か起こしそうな予感がします。
長身で身体能力は高いですが、ポストプレーはそこまで上手くないです。
しかし、クロスボールへの飛び込み方は非常に上手く、ターゲットマンというよりはストライカーといった感じ。
ワンタッチでゴールを決めるのが得意で、オフザボールの動きはJ1の中では上位だと思います。
動き出しが遅れることもありますが、身体能力が高いので多少遅れても十分競り合うことができます。
1人で持ち込んでゴールする形があればさらに怖い選手になります。
GKのカミンスキー選手は、ポジショニングや判断力に優れている選手です。
試合ではフリーキックを決められましたが、それ以外は安定していた印象です。
磐田で気になったのは大久保嘉人選手です。
大久保選手が違う意味で気になりました。
本調子とはほど遠いということです。
過去には川崎フロンターレで3年連続得点王となった大久保選手でしたが、その後は停滞している印象です。
今節もシュート数が1本のみとシュートにいくまでのイメージの共有がまだなされていないように感じました。
以前のゴール前の恐さがある大久保選手に戻れば、チームの調子も上がってくると思います。
なんと言っても前田選手です。
松本のサッカーを先頭で体現してくれる選手だと感じました。
一般的に足の速い選手は、終盤になると疲れてきますが、前田選手は疲れを感じさせませんでした。
磐田は最後まで苦戦したと思います。
足が速くて小回りが効き、常にハードワーク。
熱さが伝わってくる選手で、見ていて気持ちが良かったです。
松本のカウンターに、推進力が倍増しているのは前田選手のプレーがかなり関係しているように思いました。
もちろん組んでる永井選手も速くて力強い選手でしたが、前田選手こそミスター松本なのではと思います。
攻撃面では、特にFWの前田大然選手が目立っていたと思います。
スピードがあり、ジュビロのディフェンダーがこの試合で最も手を焼き、対応に困った選手だったと思います。
これで決定力が付いてきたら、もう1つ上のチームに引き抜かれる可能性は高いと思います。
出場時間こそ少なかったのですが、松本出身の田中選手は心底松本のために身体を張ってきたことと思います。
その数回のタッチとクロスに、「俺がいるぞ」オーラが出ていました。
次回対戦も楽しみです。
次節にむけて
山雅は、J2優勝をひっさげてのJ1初戦。
反町監督体制8年目の浸透された戦術で意を決して挑んだものの惜しくも引き分けでした。
この試合を見て感じたことは、ジュビロ磐田の実力の高さを改めて感じたことです。
山雅は、復帰試合となる大事な試合ということもあり気合は感じられましたが、やはり力の差が感じられました。
ジュビロ磐田から最低限の勝ち点1を獲得したことは、今後に向けて大きな期待になります。
厳しいJ1で生き抜けるか不安を感じる部分、若手選手の活躍への期待など思うことが多かった試合でした。
ただ臆することなく挑戦者の気持ちで試合に臨んでおり、結果も引き分けという点は今後に期待したいと思える材料になりました。