平成最後のBMWスタジアムに乗り込んだ今節。
リーグ戦で一度も勝ったことのない湘南ベルマーレとの試合でした。
前節の神戸戦は、セットプレーから2得点を決めて勝利!
「エコノミークラス」でも「エグゼクティブクラス」のクラブに勝つことを証明した試合でした。
そんな神戸は今週リージョ監督との契約を解除。
2015年の鹿島のセレーゾ監督を電撃解任を思い出します。
今節は通算10回目の反町監督vsチョウ監督の師弟対決です。
これまで湘南には1勝4分5敗と勝ったのは1回だけ。
J2で戦った2017年は2敗と苦杯を飲まされている相手です。
この試合こそは勝ちを期待していましたが、結果はドロー。
ペレイラ選手のJリーグ初ゴールが同点を呼び込んでくれました!
ついに山雅の秘密兵器が覚醒したかもしれません。
この試合のマッチレビューを湘南ベルマーレ、松本山雅、お互いのファン・サポーターに聞いてみました。
目次
両サポーターが試合を見て感じたこと
山雅は、前節からスタメン変更はなし。
神戸戦に続けて、中美選手と飯田選手がスタメンでの出場でした。
神戸戦で交代したパウリーニョ選手もスタメン出場で安心しました。
前半は、湘南の攻撃にヒヤヒヤでした。
何度もサイドをブチ抜かれて、ペナルティエリアに進入されていました。
攻撃のときの人数のかけ方、攻め上がりが上手いと思いました。
サッカースタイルは同じ源流だと思いますが、湘南の方がボール回し、ゴール前での繋ぎは上手かったです。
セカンドボールを拾えなかったのが痛かったです。
よく前半失点しなかったと思います。
後半は、立ち上がりからチャンスを作っていましたが51分に失点。
山雅は、目を覚ましたかように試合のテンポを掴んでいきます。
杉本選手が入ってから中盤でボールが回るようになった印象があります。
杉本選手がボールを持つとDFを一枚剥がせて、前を向けます。
ゴールに向かうプレイにワクワクします。
そして、後半83分にあの男が覚醒します。
補強の目玉だったレアンドロペレイラ選手が強烈なミドルシュートをぶち込みます。
このゴールで追いつき、そのまま試合終了。
引き分けなのに勝ったような満足感がありました。
とても良い試合でした!
勝点1で終わりましたけども、ゲームの流れからいって勝点3を取れてもおかしくないところは正直ありました。ただ全体的には、特に前半は低調で、いつやられてもおかしくはない流れだったとも正直思っています。後半に失点してから少し目が覚めて、重心が前に行って、そのあたりから交代選手も含めてリズムを作ることができたのが勝点1につながったと思います。
一瞬のスキを与えたらやられるような相手であることは間違いないですし、そうしたチーム作りを湘南はわれわれがいる頃からやってきたことで浸透している部分は正直ありますよね。ハーフタイムに前半を振り返ってみたときに「スローインで休むな」と話をしたんですが、まさにスローインからやられてしまった。あれは向こうが意図的に崩したような形だったかもしれませんけど。
そうは言っても、そこから奮起してやれたことをうれしく思いますし、勝点1の重みを感じている中で、この結果は次につながる大きな力になると感じています。
≫ 得点を挙げたレアンドロ ペレイラ選手の評価を。
ペレイラは開幕前に少しケガをして出遅れていたんですが、ここに来て日本の生活や文化、または日本サッカーやチームの流儀に慣れてきて、いまは非常に良い状態であると。だから、まったく代える必要はないという感じで試合を見ていました。
≫ シャドー2枚を交代した意図は?
シャドーに関しては選手それぞれがいろいろなテイストを持っているので、(前田)大然にしても中美(慶哉)にしても全然悪くなかったんだけど、このままやっていたら、このまま終わってしまう。少し向こうのディフェンスの目線を変えることをしないといけない。杉本(太郎)は見てのとおり、ああいう隙間でボールを受けて前を向く力がある。向こうの戻りの早さであるとか、ボランチが前がかりで2点目を取りにきていたことから有効かなと感じました。
永井(龍)も本来は1トップの選手かもしれませんが、ゴール感覚に優れており、点を取らないといけない状況なので。彼は(トップとシャドーの)両方ともできるようにトレーニングからやっているので、それもある意味で良かったかなと思います。
引用元:
Jリーグ公式
スポーツナビ
今日は日曜日の一番遅い時間でわれわれの試合がありました。特別な思いはありませんでしたが、反町(康治)さんとは同じチームで働いていたこともありますし、置かれてる環境なども含めて試行錯誤しながら進んでいるチームだと思います。前半はわれわれのほうがしっかり狙いを持って試合を進めて、後半立ち上がりに点を取りましたが、その後は前の呼吸が合わずにセカンドボールを拾われ始め、スーパーシュートを決められました。こういった言い方は語弊がありますが、J1のチーム同士の試合というよりは、お互いの勝ちたい気持ちがピッチに色濃く出て、われわれは2点目を取ってとどめをさせなかったことの反省がありますし、反町さんは前半の戦い方を怒っているかもしれません。お互いに次に学んでいける試合だったと思います。
試合は90分のデザインの中で、スタメンで出ている選手、交代で出ている3人の選手、ベンチワークも含めて、総合力で戦っていくことをあらためて感じました。われわれは交代した選手にもう少しパワーを持たせないと、こういった試合をクローズしたり2点目を取ったりすることは難しい。ただ、チーム全体の勝ちたい気持ちやファイティングスピリットは前節よりも出ていたと思うので、これで2点目、3点目を取れるように、もしくは1-0でそのままクローズできるようにしなければいけないと感じました。
まだ7試合目ですが、この段階で勝点が二ケタに乗るのは初めてなので、それをポジティブに生かして、今週は去年の優勝チームで連覇中の川崎さんとフライデーナイトで対戦するので、今日以上に緊張感のある試合をして勝点3を狙いたいと思います。
≫ 木曜日の練習後、かなり長いミーティングをして「心の距離感を整えた」と話していた。その成果はあったか?
磐田戦の反省が僕の中であり、ルヴァンカップを挟んでから選手と向き合って、われわれがやるべきことを整理しました。今日は開始からプレーに出ていて、自分たちのやらなければいけないことでゴールに迫っていく回数は、磐田戦より間違いなく多かったと思います。ただ、心の距離感を詰めただけで勝てるほどサッカーは甘くありません。みんなが同じことを考えている中で、一人ひとりのプレーのアイディアや責任感は、さらに増していかなければいけません。一方で、磐田戦、ルヴァンの札幌戦と連敗していた中でそれを止めたことは良かったかなと。追いつかれたことは痛いですし、なんだかソリさんと試合をすると最後に追いつかれるパターンが多くて、2012年もBMWで戦ったときに最後にCKを決められて、(現コーチの下村)東美に怒ったことを思い出しました。
≫ 試合後に反町監督と話し込んでいたようだが、その内容は?
ソリさんとは年に1、2回食事をして話はしていますし、僕はソリさんが湘南の監督としてやってきたことに、自分なりの色は加えつつ、上積みしていったと思っているので、ソリさんには感謝しています。その気持ちを試合でぶつけたことの詳細を話していました。その内容は明らかにすると面白いと思いますが、困ると思うのでやめておきます(笑)。
湘南 | スタッツ | 松本 |
53% | ボール支配率 | 47% |
10 | シュート | 10 |
2 | 枠内シュート | 2 |
117.9km | 走行距離 | 117.1km |
201 | スプリント | 209 |
415(70%) | パス(成功率) | 316(63%) |
2 | オフサイド | 2 |
15 | フリーキック | 13 |
4 | コーナーキック | 7 |
0 | ペナルティキック | 0 |
警告:2 | 警告・退場 | 警告:1 |
湘南サポのマッチレビュー
粘り強く食い下がった松本山雅に同点弾を与えてしまい、松本ペースで試合が終わったという印象です。
試合序盤は、湘南の繋ぐサッカーが機能し、ゴールに繋がるシーンが幾度も見られました。
松本は、必死に食い止め、前線からのプレスも怠らなかった結果が同点ゴールを奪ったと思います。
松本はサイド攻撃は上手く行っていたが、中に入ったときに湘南の守備に止められてカウンターという場面が多く見られました。
湘南の守備は、試合中盤まで上手くいっていました。
次第に松本の運動量に疲弊して、シュートコースを開けてしまったと感じます。
運動量を武器とする湘南・松本らしい内容のサッカーでした。
松本山雅サポのマッチレビュー
前節スター軍団神戸に勝った勢いそのままに勝利したかった松本。
湘南も集中力高くゲームに入り、互いに譲らぬ展開で引き分けとなりました。
両チームともに気持ちが全面に出た素晴らしいパフォーマンスでした。
湘南の得点は、泥臭くも湘南らしい得点でした。
2度ポストに嫌われるも最後まで詰めていた武富選手の嗅覚や運動量があったからこそのゴールでした。
松本の得点は、レアンドロ選手の素晴らしいシュートでした。
シュート前に松本はボールを失いかけますが、すぐに取り返したことがこの得点につながりました。
両チームともに気持ちが入っている素晴らしいゲームでした。
互いの良さが出た引き分けだったように感じます。
お互いに決して悪くはないものの、何かあと一歩足りないという今シーズンの戦いを象徴するような試合展開でした。
反町監督にとっては古巣対決で注目されましたが、古巣の恩返しも松本の返り討ちもない結果でした。
でも、両チームの味は出ていたと思います。
湘南はよく走ってペースを掴もうとしていましたし、松本も堅い守備からのカウンターができていました。
ただしチームコンセプトがしっかりとしているからこそ、そこにスパイスを加える個人技というものが欲しかったとは思います。
その点で松本のペレイラ選手のゴールは素晴らしく、湘南も武富選手や山崎選手が見せ場を作るシーンもあったので、これの精度がもっと上がることを期待します。
湘南は昇格組の松本から見れば格上ですが、そこまで大きな差はないと思いました。
前節の神戸相手に勝利したことが、選手たちの自信になっている気がします。
前半は湘南にボールを持たれて、ペースを握られる時間が多かったです。
1失点目は運が良いのか悪いのか、良く分からない感じでしたね。
ポストに2回も当たった時点でクリアしておきたいところですが、跳ね返りが運悪く相手のもとに。
これも実力のうちで、ポジショニングやゴールへの嗅覚で相手が勝っていたということでしょう。
失点後は、松本もサイド攻撃で上手く攻撃していたと思います。
前田大然のスピードで、相手の守備を掻き回すことができました。
後半は松本の運動量が勝っていて、ペースを握っていました。
得点のシーンも粘ってからの、ペレイラの個人技。
良いフォワードが来てくれたと思いました。
少し押され気味でしたし、アウェーだったので引き分けは及第点だと思います。
調子の上がっていたスター軍団神戸にホームの松本が競り勝った1戦でした。
今節の松本は攻撃での見せ場も多く、試合内容でも神戸と互角以上の戦いをしていたように思います。
松本は早い時間帯で先制点をとれたのが良かったと思います。
先制点は宮阪選手のフリーキックでした。
宮阪選手は、前所属の山形でもフリーキックからの得点を度々叩き出し、その腕前は知られていました。
この試合でも大仕事をやってのけています。
松本は最小失点に抑えた守備陣も評価できます。
スター軍団神戸相手に1点こそ失ったものの、そこから崩れることなくリードを守りきりました。
前節までは内容的にも乏しい敗戦が続いていましたが、今節は松本にとって結果も内容も伴った素晴らしい試合になったと思います。
対戦相手の印象
両サポーターに相手チームの印象を聞いてみました。
湘南サポから見た山雅の印象
前線からの守備を積極的に行うチームだなという印象です。
相手DFにボールが渡るとツートップからチェイシングをスタートさせて、パスコースをカット。
中に入ったボールをパウリーニョ・宮阪でボールを奪うという戦術が徹底されているなと感じました。
そこから素早くサイド、裏を狙っているFWに向かって素早くパスを出すという点もチームとして意識しています。
両サイドのウイングの運動量が他の選手に比べて多かったので、試合終盤まで持つかなと心配していました。
運動量が落ちても、しっかりカバーもされていました。
失点しましたが、試合としては十分に作られていたと思います。
ヴィッセル神戸戦に近いサッカーでした。
山雅サポから見た湘南の印象
そんなに強いイメージがなかったのですが、前半は支配されていました。
ルーズボールをことごとく回収されて、全員がよく走り回っている印象です。
特に中盤が良くて、杉岡の攻撃参加に脅威を感じました。
U-22に選出されるのも分かります。
前半は相手の技術やコンビネーションが勝っていて、なかなか厳しかったと思います。
松本は守ることに専念させられました。
それでも、サイドはスペースが空くなと感じました。
実際に松本もそこから責めるようにしていましたし。
後半は湘南の運動量が落ちているなと感じました。
松本がボールを持てるようになり、ペースを握れるように。
そんな中でも、少しのミスから湘南はゴールを狙ってきます。
個人の技術やチーム力は湘南の方が上かなと思いました。
湘南スタイルは健在で運動量は他のチームを圧倒するものです。
しかし、今の湘南は走りが強いだけのチームのようにも感じました。
もっと襲いかかるような攻撃が増えていかないと他のチームには脅威を与えにくいかと思います。
得点シーンの波状攻撃は迫力があったので、個の力が劣る分は人数をかけた攻撃で押し込むしかありません。
相手にも研究されている中で同じプレイを1試合で何回できるかが今後の湘南の戦いのポイントだと思います。
毎年のように主力を引きぬかれながらも、同じスタイルで戦えるチョウ監督の手腕は素晴らしと思います。
復帰組も多いとはいえ、チーム戦術を理解した選手が多く、若手だということは明るい要素です。
ハマれば強いがかわされると弱いという課題をクリアしていけば、今年は苦しくてもチーム力は増していくことでしょう。
今節は、まさに湘南スタイルを体現するゲームでした。
湘南ベルマーレは攻守にアグレッシブな印象です。
とにかく運動量の多いチームだと改めて感じました。
そして、今節ではただ運動量が多いだけではなくその質も良かったように感じます。
決して、カウンター頼みの走力サッカーではありませんでした。
しっかりとボールもつながっていたし良い意味での湘南らしさが感じられました。
湘南といえばアツいチームというイメージもあります。
チョウ監督を始め、選手一人一人がサッカーにひたむきに向き合っているチームだと思います。
正直なところ、技術面では他チームよりも劣ると思います。
ですが、湘南のサッカーは見る人を引き付けるサッカーだと感じます。
対戦相手で気になった選手
相手選手で気になった選手を聞いてみました!
相手チームで気になった選手は前田大然です。
スピードが武器のためDFの裏を積極的に狙い、守備の場面に切り替わると一番でチェイシングをかけていたのが印象的です。
後半始まって早々決定機のチャンスがありましたが、それも自身の武器を生かしたからこそのチャンスだと思いました。
ゴールはないですがチームへの貢献度が高く、レスターの岡崎を見ているようでつい応援したくなるようなプレイヤー。
ゴールに繋がるようなプレーも増やして得点を量産して欲しいです。
ゴールを決めた武富選手です。
柏、浦和を経て今シーズン5季ぶりに古巣の湘南に復帰しています。
身長は173センチとそれほど大きくはありませんが、柏時代から徐々に頭角を現してきたように思います。
今シーズンは湘南のチームの中心選手として活躍しています。
攻撃面での貢献度が高く、攻撃の幅を広げてくれる選手です。
器用さもありながら、今節の得点シーンのようなひたむきさ泥臭さも兼ね備えた選手です。
今後も湘南を引っ張る存在の選手であることは疑いようがなく、気になる選手です。
GKの秋元選手の安定感が良かったです。
攻撃が売りのチームにおいて、最後尾を支える彼の存在は安心感を与える意味でも大きいと思います。
この試合では失点もしてしまいましたが、守備範囲も広くてハイボールも無難にこなせるので欠かせない選手です。
失点はペレイラ選手を褒めるべきなので、それ以外を完ぺきでした。
秋元選手に限らず湘南は一度移籍したものの戻ってきた選手が多く、外の経験を伝える役割としても貢献しているのではないでしょうか。
キーパーの秋元選手。
湘南の中ではベテランの風格が漂います。
実際にプレーも冷静で、なかなかゴールを入れさせてもらえませんでした。
彼がどっしり構えているので、守備も統率されているのだと思います。
次節にむけて
この試合レアンドロ選手がJリーグ初ゴールを決めました。
ついにゴールを決めてくれた感じです。
初ゴールはヘディングシュートを予想していましたが、まさか弾丸ミドルを突き刺すとは思いませんでした
もっとシュートが打てれば、得点も量産できるはずです。
ほんとに凄い選手が来てくれたと思います。
よく山雅のサッカーに順応してくれていると思います。
他のチームなら、ゴール前に陣取っていればオッケーの選手です。
しかし、山雅は前線から守備をしないとダメ。
山雅のサッカーを受け入れてプレイしてくれるペレイラ選手には、オビナ選手と似た印象を持ちます。
序盤は出遅れましたが、これから活躍してくれるでしょう。
次節は、神の子を擁するサガン鳥栖との試合です。
順位も近く、残留を争う直接ライバルとなるチームです。
平成最後のアルウィンでなんとか勝ちを手にしたいところです。
平成最後のアルウィンを勝ちで締めくくりたい!