今節は昇格チーム同士の対決でした。
片野坂監督率いる大分トリニータは、前節鹿島アントラーズに勝っています。
2018シーズンでは2戦2敗と苦杯を飲まされた相手。
リベンジを狙ったこの試合、結果は0-1で勝利!
J1の舞台でリベンジ達成&J1復帰初勝利となりました。
皆さんは、この試合どんな印象を持ちましたか?
この試合のマッチレビューを大分トリニータ、松本山雅、お互いのファン・サポーターに聞いてみました。
目次
両サポーターが試合を見て感じたこと
後半5分に永井選手のゴールで先制に成功します!
左サイドの敵陣深くから高橋選手が右足でゴール前にクロス。
このボールを大分トリニータの選手がクリアするも、ゴール方向へ。
大分トリニータのGK高木選手がボールに触れられず、そのままクロスバーに当たり跳ね返ったところを永井選手が詰めてゴールゲットしました。
その後は大分トリニータがボールを回して反撃の機会を狙いますが、山雅は決定機を作らせない守備を見せます。
ボールの保持率では大分トリニータに圧倒されましたが、山雅からしたら作戦通りだったのではないでしょうか。
永井選手のゴールを守り切り、2019シーズン初勝利となりました!
今日の展開ですが、見てのとおり本当にどっちに転んでもおかしくない試合でした。どちらかというと1つ通ればとか、1つ良いコントロールされていればというシーンが特に前半はあったので、それをうまく乗り越えられたのが良かったかなと思います。それと永井(龍)とセルジ(セルジーニョ)、(前田)大然、(町田)也真人と前の3人がよく走ってディフェンスしてくれたのが一番の勝因かなと思っています。
われわれは、まだまだ技術面では大分さんにはかなわない部分もありますが、それを上回る力を90分間出すことができたことが結果につながったのかなと思います。当然ながら満足するわけでもなく、次の試合に向けて頑張っていきたいと思います。次からルヴァンカップとリーグ戦でホームゲームが2つ続きますので、良い準備をして頑張っていきたいです。
≫ 大分の1トップ2シャドーに良さを出させなかった、3バックの出来については。
これは結果論になってしまいますが、橋内(優也)が裏返されたら確かにGKしかいないような状況になるんですよね。ただ、昨季も対戦しているので藤本(憲明)のことは橋内もよく分かっているし、逆に言うと(開幕戦で大分に敗れた)鹿島さんは分かっていなかったですね。その意味ではしたたかにできたと思いますし、途中から2トップにしてもらったことで助かったという言い方は変ですけど、分かりやすくなりましたね。
≫ 次節から浦和、広島、川崎Fと強豪とのリーグ戦が続くが、どういう戦いをしていきたい?
僕は、どの試合を見ても大きな違いはないと思っています。すべての試合に集中してやっていくつもりです。これからは確かに、いわゆるビッグクラブとの試合が待っているわけであって、ある意味で楽しみにしています。それを乗り越える力を出さないといけないと思っています。特に3月上旬のルヴァンカップを含めた連戦を総力戦でやっていきたいと思っていますし、それを見た上でチームがどんどん成長できるような手助けをしていきたいと思います。
引用元:
Jリーグ公式
スポーツナビ
ただ、すぐにカップ戦があるし、週末にはアウェイでリーグ戦もある。しっかり切り替えて、次のゲームはまたホームで戦えるので、ルヴァンカップで自分たちの狙いを合わせ、皆さんに喜んでもらえるゲームができるよう全員で準備して臨みたい。
≫ 甘さがあったというのは。
今週、松本戦に向けていろいろ準備したが、その部分でもうまく表現できず、チャンスになりそうなところはあってもシュートまでやらせてくれない。そういうところは準備不足でもあったし、私のメンバーや戦術の判断にも責任があったと感じた。やはり開幕戦でアウェイで鹿島さんに勝てたことで、私も含め、「なんとなくやれるんじゃないか」「プレーすれば得点取れるんじゃないか」という思いを、どこかで感じていたのかもしれない。選手のパフォーマンス全般に関しても、やってはいるのだが、そこからの勝ちたい、絶対に点をやらない、点を取りにいくという迫力だとかパワーの使い方に関しては、松本さんのほうが上で、われわれのほうにはそういうパワーがまだ足りない。開幕戦に勝ったことで安心したのかもしれないけれど、そういう部分が出たのかなという感じを受けた。
大分 | スタッツ | 松本 |
69% | ボール支配率 | 31% |
4 | シュート | 14 |
0 | 枠内シュート | 6 |
115.1km | 走行距離 | 119.7km |
168 | スプリント | 215 |
713(85%) | パス(成功率) | 284(72%) |
2 | オフサイド | 1 |
12 | フリーキック | 14 |
0 | コーナーキック | 4 |
0 | ペナルティキック | 0 |
警告:1 | 警告・退場 | 警告:1 |
大分トリニータサポのマッチレビュー
松本との対戦は、昇格組同士のプライドが垣間見える試合でした。
両チームとも今シーズンはなにがなんでも降格は免れたいところ。
チーム力が同じ相手から勝ち点3をもぎ取りたい、という気持ちが強く感じられた試合でした。
どちらのチームも勝ち点は失いたくない、引き分けでもいいという気持ちもあったと思います。
試合が始まると大分トリニータが圧倒的にボールを支配します。
しかし、松本は前線の高い位置から効果的にプレスをかけてきます。
このプレスが試合が経過するとともに、ボールを回しているというより、回させられているという印象を強くしました。
後半に入ると早々に永井選手のゴールで松本が先制に成功します。
J2でも手堅いゲーム運びを見せていた松本山雅。
先制したことで、継続的なプレスをかけ大分に決定機を作らせません。
ボールを持っていないにもかかわらず終始試合を支配されているように感じました。
試合前は戦力的に同じチームなので、ボール支配率は同じくらいになると思いました。
でも、試合が始まると大分がボールを持つ時間が圧倒的に長い、上手く攻められている感じでした。
パスの回数も多く、成功率も高かったですが、これが松本山雅の狙いだったのかもしれません。
大分トリニータはボールを回すことはできましたが、肝心のゴール前では上手く攻め込むことができず、決定的なチャンスは作ることができません。
データを見れば明らかです。
大分トリニータの枠内シュート数は0で、シュート数も4。
これでは点が入るわけが無いです。
いくらボールを支配していても意味がないです。
松本山雅は危険なエリアでは集中して守備を固めて、それほど危険ではないスペースでは自由にボールを回させていました。
試合を上手く進めることができたのは、松本のほうだったということです。
松本山雅の作戦勝ちといっても良いと思います。
松本山雅サポのマッチレビュー
J2最強の矛と盾の対戦として注目しました。
ロースコアに持ち込んだ盾が上回ったことで引き締まった良いゲームになりました。
舞台がJ1に変わっても、どちらもチームのアイデンティティーは失っておらず、その点が確認できたことも嬉しい試合でした。
大分は無得点だったものの、随所にらしさが出ていたので大分不発と言うよりも、山雅がきっちり守ったと評価すべきだと思います。
得点シーン自体はミスによるもので若干の拍子抜け感は否めません。
でも、難しいゲームが動くきっかけとしてはミスか、セットプレーだと思います。
試合を通じて効果的にカウンターとミドルシュートで大分に危機感を与えていた山雅としては、してやったりのゲームでした。
昇格組同士の対決となったこの試合、山雅の方が1枚上手だったように思います。
前節、山雅は先制しながら追いつかれてのドロー
対する大分はアジア王者である鹿島に大金星という結果でした。
試合前は大分が勢いそのままに優勢かとも思いました。
でも、山雅が徹底的に相手を研究していました。
3バックの守備がハマり、大分の攻撃陣に仕事をさせません。
大分は得点のニオイがほとんどしないような内容だったと思います。
一方の松本は得点こそ1ゴールのみでしたが、惜しいシーンもたくさんあり、攻撃が連動しているのが見てとれました。
前節で課題となった先制点を守りきることも達成でき、試合内容としても充実した勝ち点3だと思います。
対戦相手の印象
両サポーターに相手チームの印象を聞いてみました。
山雅サポから見た大分の印象
失礼ながら降格候補の筆頭だと開幕前には思っていました。
開幕戦の勝利もフロックだと考えていましたが、それは誤りでした。
大分の攻撃力はJ1でも十分に通用すると感じました。
この試合でそれを証明しました。
サイドを起点にピッチを広く使って、攻めてくるので的が絞りにくく、守る方は手を焼きます。
中央からは小塚選手がうまく散らすので、スピーディーな攻撃と多彩なパスコースが大きな強みです。
中央に個人技に長けたフィニッシャーがいないが勿体ない。
藤本選手あたりが安定した力を発揮する、もしくは強力な外国人FWが加入したら勝点は伸びていきそうです。
J1で少しは守備に重点を置くかと思いましたが、アグレッシブな攻めは健在でした。
この試合は山雅が勝ちましたが、大分も躍進しそうだと感じました。
大分は、開幕戦でアジア王者の鹿島を破った勢いは感じられず攻撃陣は消沈した感じを受けました。
かなり山雅の守備に手を焼いていた印象です。
開幕戦2ゴールの藤本選手も山雅の守備に抑えられ、良いところはほとんどありませんでした。
カウンターはそれなりに勢いはあるものの、パスからの連動性は低いと感じました。
また、個人技に長けた選手も少ない印象です。
中を固めた相手に対しての攻撃パターンが少ないように感じます。
途中から攻撃の活性化を図って、2トップに切り替えましたがそれも不発に終わりました。
サイドからの崩しも山雅の守備に阻まれ万事休すといったところです。
また、失点シーンは不運なところもあったかもしれませんが防げたと思います。
少しの油断が失点につながるのがJ1ですね。
大分サポから見た山雅の印象
松本からしたら、いわゆる「ハマった」という表現が相応しいのではないでしょうか。
両チームとも3-6-1というフォーメーションを採用していて、大分の3バックに対して松本は永井選手、前田選手、セルジーニョ選手の3人が連動してプレッシングを行います。
しかも、2012年から反町監督が指揮を執っているだけあって、プレッシングの完成度が高いという印象を受けました。
前線の3人は、やみくもにプレスをかけているようには見えませんでした。
プレスをかけるタイミングが良いことはもちろん、ダブルボランチのパウリーニョ選手、藤田選手が縦に入ってくるパスのコースを限定しているので、なかなか効果的なパスが出せません。
試合の経過とともに、疲労も溜まってくるので後半は大分が押し込む展開が続きます。
それでも、最終ラインではエドゥアルド選手を中心に身体を張ったプレーでピンチを凌いでいきます。
さすがはJ1、J2で指揮を執った経験のある反町監督。
今のチーム力にあった現実的な試合運びの巧をチームに浸透させていることが見てとれました。
この試合の松本は作戦が上手くいったという印象です。
サッカーに詳しくない人は、点が入らないつまらない試合で片付けてしまう内容だと思います。
でも、サッカーに詳しい人が見ると興味深い内容でした。
攻めていても攻撃は単調に終わり、いっこうに勝利への糸口が見えない大分トリニータ。
不気味に守備を固める松本は、目立った怖さが無かったはずです。
しかし、大分からすると攻撃してもシュートまで結びつけることが出来ない。
疲れはたまり、精神的にも追い込まれる。
精神的に追い込まれると知らない内にプレーは縮こまり、攻撃しているのに危機感を感じるようになります。
この試合、大分トリニータにはまさにこの雰囲気が流れていました。
実際、上手くいかない攻撃を繰り返していました。
大分トリニータはホームでの試合なので、応援に後押しされて体は軽く動いている印象でした。
しかし、それは大きな勘違いで、山雅の術中にはまっていたのだと思います。
対戦相手で気になった選手
相手選手で気になった選手を聞いてみました!
この試合ではサイドで攻撃のリズムを作り続けた松本選手が目立っていました。
スピードとテクニックを両立しているので単純な突破だけでなく、タメも作れるので味方の押し上げもうながせてチームを活性化させる役割を果たしていました。
オナイウ選手です。
昨シーズンはJ2山口で活躍しました。
今季から大分の加入し、今節は途中出場でしたが大きな見せ場はありませんでした。
ですが、相当のポテンシャルを秘めた選手であると思います。
昨シーズンの活躍がそれを物語っています。
大分のプレーに馴染んで、能力を発揮できるようになれば大化けする可能性がある選手です。
松本山雅で気になった選手は、前田選手です。
前田選手は、ワントップの永井選手の後ろのポジションですが、爆発的な走力を生かしてシャドーストライカー、ウイングどちらの役割もこなします。
同じサイドの岩上選手は、キック精度が高いため、岩上選手から永井選手にミドルパスを当てて、つり出したディフェンスの背後を前田選手が狙うという形は大きな武器だと思います。
相手チームも前田選手の爆発的なスピードは警戒していますが、後半の疲れが溜まる時間帯に一瞬のスピードで試合を決める力を十分に持っている選手です。
守備陣で注目するなら、左のセンターバックを務めるエドゥアルド選手です。
まず、エドゥアルド選手は貴重な左利きのセンターバック。
3バックの左に入ることでビルドアップが非常にスムーズになります。
守備の局面では非常に粘り強い守備をするのも特徴です。
松本のように数少ないチャンスを得点に繋げていくようなスタイルのチームは、いかに泥臭く失点を抑えるかが勝ち点に繋がります。
守備の要として、エドゥアルド選手は貴重な戦力だと思います。
永井龍選手は、海外でもプレーしたことがある経験豊富なプレーヤー。
得点感覚にも優れています。
潜在能力は高かったですが、スタメンに定着することができずに、年間を通してプレーする機会がありませんでした。
しかし、この松本ではレギュラーを獲得して、最前線で得点を狙い続けています。
潜在能力は高い選手なので、今後も活躍が期待できます。
岩上選手は、ゲームメーカーで試合を作り、パスで展開力を発揮する選手です。
短いパスと長いパスを使い分けていて、攻撃の起点になることが多いです。
セットプレーでもキッカーを任されることが多く、チームからの信頼も厚いです。
ロングスローも得意であらゆる状況からチャンスを生み出すことができる選手です。
幅広いポジションができるセンスの良さが魅力です。
次節にむけて
山雅は、J1再挑戦で2試合目にして勝ち点3をGetしました!
思い返せば、J1での最後の勝利は2015年の第13節清水戦でした。
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松本山雅×清水エスパルスマッチレポート【J1 2nd 第13節 2015年10月3日】
10月3日(土)に行われたJリーグ公式戦2ndステージ第13節 松本山雅FC vs 清水エスパルスの試合。 前節のFC東京戦は、前半20分に失点を喫して0-1で敗れた。 4試合ぶりの黒星により年間順位 ...
あれから4年、この勝利は山雅にとっては大きな1勝です。
しかもJ2では2敗している大分に勝ったことが何よりも嬉しいです。
アウェイでリベンジできたのは最高ですね。
試合2日前に大分入りして、念入りに準備を進めてきた結果だと思います。
最後まで足を止めなかったことが好守両面で結実しました!
前田選手の驚愕のスプリント回数!
53回はヤバいですよね!
30回の永井選手が霞んでしまう…
前田選手に限って言えば、普通に走っていても早すぎて計測されちゃっている感じがします。
このスプリント回数が勝利に結びついて嬉しいです!
そして、次の試合は浦和レッズです。
2015シーズンは2戦2敗です。
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5連敗中の松本山雅がホームアルウィンで浦和レッズと対戦したマッチレポートです。工藤浩平選手、安藤淳選手が移籍してきて初先発だったこの試合、結果は1-2で敗戦。泥沼の6連敗を喫してしまいす。
ホーム開幕戦となるこの試合、なんとしても下馬評覆したい!
4年前とは違うぞ、っていう試合を期待します。
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監督は変わったけど、ぜひとも違いを見せつける試合内容にしてほしいです。
浦和レッズ戦こそが今後の真価が問われる試合になると思います。
4年前に↓の記事も書いているので、まだ読んでいない方はぜひ読んでほしいです。
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ビッククラブへの挑戦!浦和レッズvs松本山雅についてみんなに思い出してほしい一つのこと
松本山雅と浦和レッズには不思議な縁があります。山雅が初めてジャイアントキリングを起こした相手が浦和レッズでした。2009年の天皇杯アルウィンで行われた試合は、1万人の浦和レッズファン・サポーターの中で行われました。スタジアム全体が赤で染まる、今では考えられない光景でした。あの勝利から1度もレッズに勝てていません。でも、今年こそは勝ちたい!いや勝とう!そう思わずにはいられません。
来週のマッチレポートをどんなテンションで書けるか今から楽しみです!